アルミフレーム
エンジン制御
サスペンション
ドライカーボン

フレーム解析 いまやKARTの代名詞とも言えるアルミフレーム。
その開発の裏には常に問題が立ちはだかりました。
初年度、KARTの期待を一身に背負って誕生した零号機のフレーム重量はなんと60kg。軽くて強いアルミニウムとは名ばかり、二人で持ち上げるのがやっとの超重量級フレームでした。
確かにアルミニウムは優秀な素材です。
比重は鉄の1/3でありながら、鉄に匹敵する強度を持ち、加工性、耐食性に優れています。 したがって、鉄と同強度のアルミニウムを選定するのは容易なように思えました。
しかし、フレームのような構造部材は強度だけではなく、剛性の確保にも努めなくてはなりません。 これを達成するために走り出した我々に常に突きつけられたものがレギュレーションの壁でした。

「アルミニウムのパイプを用いる場合、その最低肉厚は3mmとする。」
アルミニウムのヤング率は鉄の約1/3。 つまり断面二次モーメントは鉄の3倍以上が要求されます。
一方、鉄で作るより軽くしようと思えば、断面積は鉄の3倍以下でなくてはなりません。 これをクリアするには太くて薄いパイプを使うしかないのですが、この規定がそれを阻みます。

「メインフープは鉄でなくてはならない。」
メインフープとその他のパイプは剛結合していなくては意味がありません。
異種材料をどのようにして結合するか?
この難問を私たちは抱き合わせと溶接という手法で乗り越えました。 様々な検討の末、2号機で初採用されたこの技術は車検員からも高く評価され、以後のKART車両に用いられています。

ジグ図 そして製作段階では「溶接ひずみ」が立ちはだかります。
アルミの溶接ひずみはすさまじいものがあり、フレームパイプのように一端を溶接すると、その反対側では最大で50mm以上設計値からずれるというようなこともあります。 これを解決すべく作り出した我々のジグも様々に形を変えながら進化を遂げてきました。
ジグがなく、強引にひずみを戻していたゼロ号機。
林立するジグがフレーム全体を覆いつくしていた一号機、二号機。
フレーム内をいくつかのブロックにわけ、あらかじめ溶接してから全体を組み上げた三号機。
そして機能的なジグにより一本一本のパイプを組み上げる全体ジグでありながら二号機から大きくその数を減らした五号機。六号機では前後を別のユニットにわけた後に全体を溶接する三号機の方法を更に改良した方法を採用しました。
フレーム製作とはまさにジグの歴史であり、我々は常にフレーム精度の向上に努めています。

KARTでは2014年度も引き続きアルミフレームを採用しました。これまでの経験を凝縮させたフレームはどのようなものなのか。9月のエコパで皆様にお目にかけたいと思います。