9月12日(大会3日目)
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 この日も朝から1日中強い日差しが照りつける中での走行となった。大会3日目の競技は耐久走行のエンデュアランスと燃費である。
 エンデュアランスは1周約960 mの直線、コーナー、スラロームを組み合わせたコースを2人のドライバーが交代を挟んで連続してそれぞれ11周ずつ、計22周を走り、合計タイムを競う耐久走行である。オートクロスと同様、車輌の完成度と総合バランス、ドライバーの技量と落ち着きが試される競技であり、ポイントも競技種目で最も高く、この大会1番のハイライトである。


▲ 走行を待つ

 エンデュアランスの走行は前日行われたオートクロスの順位での出走順となる。同時に2台がコース上を走行するため、オートクロス7位の我々は3グループ目での出走となる。
 朝から車輌の整備と最終チェックを行った。最後の仕上げであり、隅々まで目を光らせて作業に当たった。
 8時過ぎから競技が始まり、前年度優勝校である上智大学をはじめとした上位校が快調に走りだした。各大学が次々に完走するのを見るにつけ緊張感が高まってゆく。そのような中、車輌のトラブルのために競技をリタイヤした大学があった。トラブル発生の可能性があることは我々のチームも例外ではなく、他人事とは思えない様子にチーム内には緊迫した空気が流れる。


▲ このような場面も

 10時前になりいよいよ京都大学の出走となる。第1ドライバーは最初のうちは様子を見ながら慎重に走り、徐々にタイムを上げてゆく。ほぼミスもなくベストタイムは61秒台。ここまでは車輌の調子も良く順調に走っている。ここまでは調子は良いように思われた…。


▲ 周回を重ねるYJ-R06

 第1ドライバーが11周を走りきりドライバー交代。第2ドライバーが出走する。実況の方から「これは良いドライバーですね!」との声がかかる程に1周目から快調に飛ばしてゆく。
 しかし2周目以降、車輌の後方から白い霧状のものを吹いているのが観覧席からも確認されるようになる。何らかの故障ではないかと張り詰めた面持ちで見守るメンバー。「何かの見間違いであってくれ…」ところが、車輌は4周を越えたあたりから失速し、YJ-R06はついに停止してしまった。再始動もできずオフィシャルに誘導されてコース外に運ばれてゆくYJ-R06。コースに再び戻ることはなく、結局京都大学はエンデュアランスをリタイヤすることとなった。


▲ オフィシャルから指示を受けるドライバー達

 その後オフィシャルの安全点検を受けてピットに戻り原因を究明した。原因は燃料系統のトラブルによる燃料漏れであることが分かった。原因は些細なことではあったが、リタイヤしてしまったという結果に何ら変わりはない。今回このような結果に終わってしまったことは我々としては到底満足できないものであるが、ものづくりは細心の注意を払わなければ思いもかけない結果につながることを身にしみて感じた時間であった。
 しかし、この教訓を生かし今後につなげることができれば我々の1年間の努力は無駄にはならないだろう。今年の悔しさをばねに来年以降は「より良い」ものづくりをすることの決意を新たにした。

この日で我々は動的競技を全て終えたことになり、残りの時間は他大学の走行や車輌の見学に当てた。既に新年度に向けての動きはスタートしており、各大学の良い点、悪い点から学び取ることをしっかり吸収して来年の設計につなげたいものである。また、その一方で最終日に行われるデザインファイナルの準備のために多くの時間を割いたメンバーもおり、この日も休まる時は無かった。

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